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職員コラム「ゆっくりを楽しむ」

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職員コラム 

2021年11月10日

仕込み物が好きだ。
といっても座頭市の仕込み杖のような物騒なものではなく、保存食のことである。

年に数回、衝動的に仕込み物を作りたくなる時があり、ここぞとばかりに食材を買い込み一気に仕込む。
幸運なことに、近所に三代続く八百屋があり目利きの店主に相談しながら食材を買い込む。
しかし、お天道様の恵のものであるから、どうしたって不作の年はあり、その時は潔く諦めて来年の豊作を祈る。

 

目当てのものが手に入ったら、その日のうちに腕まくりして仕事に取り掛かる。
仕込み物は鮮度が重要なのだ。
初夏は梅干し、梅酒を仕込み、厚手のコートを用意する頃には金柑の甘煮やリエットなどを作る。

 

仕込み物は待つ楽しみがあるところもいい。
花梨のスパイス漬けを仕込んだ時など、瓶の中で日ごと深い琥珀色に変化していく様を子供のように眺めていた。

家庭で梅干しを作る際は、防腐の為に塩分濃度を店頭のものより高く作る。
その為、作った年の梅干しは飛び上がるほどしょっぱいので、数年寝かせてから食卓に上る。
年を追うごとに味がまろやかになり、その変化も楽しい。

 

自慢にもならないが、変なところだけ記憶力がいいので、仕込んだ年に何があったか割と鮮明に思い出すことができる。
仕込んだ年の自分を振り返っては、少しは成長したな、でもここは変わらないな、など我が身を反省しながら梅干しを噛みしめる。

 

何もかも目まぐるしく変化し便利になった時代に生まれ、その恩恵を享受できる有難さを感じる一方、時折その忙しなさに疲れてしまう時がある。そんな時、敢えて全て手仕事で行う「面倒くさい」仕込み物を作ることで自分のバランスを取っているのかもしれない。

 

速さが重要視される世の中、手間暇かけてゆっくりを楽しむのはある意味贅沢なのかもしれない。

 

担当職員:S

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